海 (ドビュッシー)

管弦楽曲』(うみ、 La Mer)は、フランスの作曲家クロード・ドビュッシー1905年の作品。

題名の通り、海の情景を表した標題音楽であり、交響詩と呼ばれることもあるが、作曲者自身はこの作品に管弦楽のための3つの交響的素描(エスキス)の副題を与えた(日本語版のCDでは、「交響詩『海』」や、「海 - 管弦楽のための3つの交響的素描」といった表記が見受けられる)。彼の最高傑作の1つであるばかりでなく、印象主義音楽を代表する作品であり、近代音楽史上最も重要な作品の1つである。この作品の次作にあたる管弦楽のための『映像』の作曲中にドビュッシーは、「音楽の本質は形式にあるのではなく色とリズムを持った時間なのだ」と語っているが、本作はこの言葉を裏付ける「音楽」である。

作曲の経緯

この作品は1903年の夏に着手された。この頃ドビュッシーはブルゴーニュ地方にある妻の実家にいた。この年の9月12日付の手紙でアンドレ・メサジュ宛に、この作品に取りかかったこと、この作品が、「サンギネールの島々の美しい海」「波の戯れ」「風が海を踊らせる」という副題を持つ3つの楽章から構成されることを伝えている。同じ手紙の中で彼は、自分が今いるブルゴーニュから海は見えないが、記憶の中の海の方が現実よりも自分の感覚には合っていると述べている。

しかし、実際にはこの作曲は難航し、しかも私生活では1904年妻を捨ててエマ・バルダックと駆け落ちをするといった事情もあって、完成までには時間を要し、結局完成したのは1905年3月5日であった。

作品の概要

初演

初演は、1905年10月15日、カミーユ・シュヴィヤール指揮のコンセール・ラムルー管弦楽団によって行われた。

楽器編成

弦楽器の演奏者数については指定されていないが、チェロは第1楽章のdivisi演奏箇所に於いて一部に16人の指定がされているが、現実には多額の費用がかかり、実際には10人程で済ませている。

楽曲の構成

  1. 「海の夜明けから真昼まで」 (De l'aube à midi sur la mer)
  2. 「波の戯れ」 (Jeux de vagues)
  3. 「風と海の対話」 (Dialogue du vent et de la mer)

の、3つの部分で構成される。

演奏時間

全曲で約23分。

第3楽章「風と海の対話」練習番号59のトランペットのファンファーレの問題

1909年デュラン社から出版されたものがドビュッシーが出版を認めた「海」の出版譜の最後のものである。この版で、ドビュッシーは練習番号59のトランペットファンファーレを削除した。デュラン社によるCritical Editionでもファンファーレが削除された版を採用しているが、レコーディングによってはこれを復活させているものもある (E.アンセルメ指揮/スイス・ロマンド管弦楽団C.ミュンシュ指揮/ボストン交響楽団C.デュトワ指揮/モントリオール交響楽団 など)。

その他

神奈川沖浪裏

脚注


関連項目

  • 武満徹 - 晩年の作品であるオーケストラと2台のピアノのための「夢の引用」を「海」からの多数の引用によるコラージュとして作曲した。

参考図書

  • 作曲家別名曲解説ライブラリー10 ドビュッシー (音楽之友社、1993年) ISBN 4276010500

外部リンク