(ふ)とは、中国韻文における文体の一つ。漢代に形成された。抒情詩的要素が少なく、事物を羅列的に描写する。事物の名前を列挙することを特徴とするので、日本では古来、かぞえうたと称された。『漢書芸文志に「歌わずじて誦ず、これを賦と謂う」とあり、漢詩歌謡から生まれたのに対し、賦はもとより朗読されるものであったと考えられる。接続詞なども多く使われ、散文の要素が多く取り入れられている。文体の性格としては漢詩散文の中間に位置する。

楚辞』離騒の系譜を継ぐものと考えられ、合わせて辞賦と称される。

押韻

押韻は通常、換韻がなされ、一韻到底は少ない。換韻は意味的な段落が変わるときになされることが多い。隔句韻が最も多く、また毎句韻も多い。しかし、散文的要素が強い場合、長く押韻しないものもしばしばである。

構造

賦の冒頭には「序」がつけられ、最後には「乱」あるいは「訊」がつけられる。序では賦を作った動機などが説明され、乱や訊では賦全体の大意が要約された。

賦の種類

賦は時代や特徴に応じて次の四つに分類される。

漢賦

漢賦(かんぷ)とは漢代に特徴づけられる賦をいう。文賦と合わせて古賦(こふ)ともいわれる。問答体形式を取ることが多く、散文の句(散句)を交えていることを特徴とする。句の字数は『詩経』や『楚辞』の形式を継承して、四言、六言が多いが、三言・五言・七言なども見られる。またかなりの長句もめずらしくない。

なお漢初では賈誼のように『楚辞』の形式に乗っ取り、抒情的な賦を詠んだものがあるが、これらは騒体賦(そうたいふ)といわれて漢賦から区別されることがある。

駢賦

駢賦(べんぷ)とは、六朝時代に特徴づけられる賦をいう。俳賦(はいふ)ともいう。対句や典故など駢文の要素が多く取り入れられ、その実、押韻された駢文ともいえる。漢賦に比べて一篇の長さが極めて短く、長編の作品は少ない。

なお六朝時代後期になると、五言詩や七言詩など句が取り入れられるようになった。

律賦

律賦(りっぷ)とは、唐代宋代において科挙に採用された試験のための賦のことをいう。平仄が重視され、駢賦よりも厳格な対句が要求された。また押韻の仕方に制限があり、試験官によって使われる字が決められた。8つであることが多かったので八韻律賦とも言われる。字数制限もあり、大体400字以内に収められた。

文賦

文賦(ぶんぷ)とは、中唐以後、古文復興運動の影響を受けて、成立した散文風の賦のこと。形式的には漢賦に近いので、漢賦と駢賦を合わせて古賦と呼ぶことがある。しかし、漢賦が事物の羅列に終始し、飾り立てるような字句を好んで使ったのに対し、中身のある質実剛健な文章が好まれ、漢賦よりもより散文に近づいている。押韻は比較的に自由であり、句の字数も不揃いであることが多い。